「バイト先の先輩が別のバイトで人手が足りてないので手伝ってほしい、日給1万は出る」

日給1万は素晴らしい。。

さらに

「車を運転して所定の位置まで運ぶだけみたいで、2、3時間程度で終わるっぽい」

素晴らしいよおお玉山くん！

そんなおいしいバイトがあるんかいな！

まぁまぁ金欠だったので

テンションマックスになり

次の日曜日に京都駅で待ち合わせ

玉山くんと一緒に待っているとロータリーに白いセダンがやってきて

僕らの前に停車。

ちょっとドキドキしていると

中から先輩登場、「まぁ乗って」

と言われて後部座席に乗ると

助手席に坊主頭のいかつい人

運転している人もまぁまぁな人相。

ちょっとびびる自分

まぁ人は見た目で判断しちゃいかんしね！

と自分に言い聞かせて落ち着く。

発進してすぐに先輩から前方二人の紹介があった

「持田さんと川上さん、この辺で二人で車屋やっている人なんよ」

ほうほう

「免許とったんで車を探してたら知り合いに紹介してもらって、車を買わせてもらったんよ」

なるほど

そこから先輩、持田さん、川上さんがどういう事業をしているのかを詳しく説明

月間何台売ってるとか年商これくらいあるーとか

そうなんですねーと相づちうっていると

車好き？とかどんな車種でも安く見つけてくるよーとか

そんな話になり、好きな車の話とかをしていると川上さんが突然

「色々説明とかあるし、持田と自分は降りてくれる？」って言われて

近所で途中下車

初対面の持田さん（坊主の人）と

取り残される。

まぁこう初対面の人と二人は辛いですよね。

ただ見た目よりも気さくな人で

すぐに打ち解けてしまい楽しく話す事が出来た。

すると持田さんが

「自分やったら興味ありそうやな」

「自分知ってるか？車は業者だけが買える場所があってびっくりするくらい安い金額で買えるねん、

そこで仕入れて差額で売ってるんよ」

「ただもっと在庫持ちたくて1台買うのだってバカにならんやんか、せやし今一緒にビジネスやるやつ探してるねん、仕入れ額の半額を出してもらって売れたら利益分も半分ずつってしてるんやわ。」

ふむふむ

「商売自体はうちらがやるし店も見にきたらええわ、毎月コンスタントに売ってるしたぶん損ないと思うんよ、
最近やと60万で仕入れた車を180万で売ったんやわ、ほなら1人30万の利益やわな」

ほうほう

「どや？まず30万出さへんか？」

は？

「自分やったらこんなん好きそうやろ、儲かるで」

ん？

30万！学生が30万！

それはだいぶきついなぁ....

それに確実に売れるかわからないし

まだよく知らないしねー

なんかのらりくらりとかわしていると

車が戻ってきて先輩だけが降りて来た

そして持田さんが車に乗って

先輩と二人になった

「話聞いた？」

先輩がにこにこしながら聞いてきて

「オレあの人から車買ってさだいぶ安く買わせてもらって、◯◯の現行モデルで50万やで、

なんとかしてすぐ払ったわ」

それは安い！

「ほんでこの前投資した分が売れたんやけど5万くらいの儲けにしかならんかったし
そのまま別の車を仕入れる代金に全額回したんよ」

へぇへぇすごい！

ちゃんと利益でてるんだねー！

5万稼ぐの大変だもんなー

色々改造してる車だっていうから写真見せてって言ったら

「いやまだ納車されてなくてさー、ちょっと不具合あったみたいで修理もしてから納車なんよ

色々登記とかもあって来月くらいには納車かな？」

そうなんですね。

待ち遠しいですねー

「そやねー自分の車はいいよ！ワクワクが止まらなくてさもう3ヶ月も待ってるんよ笑」

ん？

3ヶ月は長過ぎじゃないか

んん？

話を聞いてると

車代に50万払って、修理代に10万払って

投資に30万払ったと

お金使い過ぎじゃないか

心配になってきた

「大丈夫だよ、この前もご飯一緒に食べにいって奢ってくれるし仲もいいし

すごくいい人だからさ、ちゃんと投資で利益も出たし」

そうなんだけど....

なんかまずそうな雰囲気を

つかみ取って怖くなって来た。

夕方から用事もあったんですごく去りたいなーって思ってたら

例の車が戻ってきて玉山くんが自分どうする？

って聞くから帰るって言うと

「オレもうちょっとこの人らと話あるし今日はここで、じゃぁ」って

おいおい玉山ぁあああああ大丈夫かよ

用事あるんでこの辺で

この話はまた今度機会があればって言って離脱

そしてすぐさま親父に電話

すると

「おまえ危なかったなぁ、お金をどんどん出させて

真実味を出す為に貰った金を使ってご飯おごったり、利益出た風に装ってお金渡したりしてさらにお金をひっぱる詐欺だよそれ、そいつら消費者金融にでも連れていってお金出させるとこまでいく気やったで」

ひょえええええええ

ひょええええ

ひょえええ

ひょええええええ

うちの家訓は

・ギャンブルはするな

・保証人になるな

・消費者金融からお金を借りるな

これがうちの小さい時からの教育だったので

さすがに消費者金融って話になったらなんとか逃げ出した

とは思うが修羅場になっていたかもと思うと

冷や汗がでる

まぁでもよかったよ

騙されなくて

っほ.....

あっ

玉山ぁああああああああああああああああああぁぁぁ

電話だ電話

玉山の無事を電話で確認し

自分からの電話だと気付かれると危険を感じたので

yesなら「うん」Noなら「うんうん」で話を進める

「まだ車か」

「うん」

「何もされてないか」

「うん」

「先輩はまだ一緒か」

「うんうん」

先輩離脱中と判明

「持田さんと川上さんは一緒か」

「うん」

「ビジネスに乗ったのか」

「うん」

「まさかとは思うがア◯ムとかでお金作れって言われたか」

「うん」

詐欺確定

ひょええええええええええええ

「もう借りたのか?」

ドキドキ....

「うんうん」

まだせーーーーふううーーーー

「トイレに行きたいとかなんとか言って逃げろ、詐欺だそれ」

「まじで？」

「どうしたん玉山くん」

電話口の向こうで持田さんの声がする

危険だこれええええ

なんとかかわせええ玉山あぁあああ

「いや、なんか友達が近所にいるみたいで遊ぼうって、ここに呼んできてもいいっすか？」

おっいいかわし方やぞ玉山！

「いいよ、その子も一緒に飯でもいこうや」

よしよし！

「とりあえずまた後で連絡するわー」

「よしよし、迎えに行くふりしてにげろよ！！！」

「うん」

15分経過

30分経過

45分経過

電話がなった！！！

「玉山無事か！！」

「おう、迎えに行くふりして走って逃げてきた」

「今どこ」

「中央改札前」

「すぐ行く！！！」

こうして僕らは詐欺を乗り切れた

その後警察に電話して話したが

事件が起こってないからまたなんかあったら連絡して

とあっさり....

ほんとね...

玉山くんの先輩だが

消費者金融からも借りて総額150万程の借金が出来てしまった。

そして先輩の知人も同じように騙され

まぁまぁの被害総額になった。

この事件がおおやけになる事もなかったし

犯人が捕まったのかどうかもわからない。

ただ一つ言える事は

現場にいて周りから情報を与えられて普通に話していると

詐欺だとは思いもしないって事

ここから家訓に一つ追加された

・ギャンブルはするな

・保証人になるな

・消費者金融からお金を借りるな

・自分がお金を出す儲け話は信じるな

みなさんお気をつけてください。

ではでは